政府発表が二転三転どころか四転も五転もするので、過去記事の更新ではごちゃごちゃしすぎてきてしまいました。
とはいえ、これだけの変更があったことも記録として残しておいた方が良いと思うので、過去記事はそのままにして、新たな補償まとめを作ることとします。
CONTENTS
・国からの補償 – 個人、家庭向け
・国からの補償 – 事業者向け
・貸付・融資制度
・民間の支援
・問題となっていることまとめ
・声を届ける方法
国からの補償 – 個人、家庭向け
生活保護制度
国が定めている「最低生活費」よりも世帯の収入が少なくなってしまった場合に支給されます。
地域の福祉事務所や役場の窓口にて申請できます。
生活保護制度 – 厚生労働省
住宅確保給付金
収入が減った人に代わって一定期間、家賃相当額を自治体から家主に支払う制度。
これまでは離職・廃業者のみでしたが、4月20日から休業による収入減も対象とされることとなりました。
住居確保給付金のご案内 – 厚生労働省
また、4月30日からはハローワークへの登録も不要となることが発表されています。
減収世帯の家賃補助、求職要件を撤廃 – 日経新聞
納税猶予制度
新型コロナウイルスの影響で、税金を一時的に納付することができなくなった場合、一年間の猶予が認められる制度です。所轄の税務署に申請します。
納税猶予制度 – 国税庁
失業手当(雇用保険失業給付金)
雇用保険に入っていた労働者が失業した時に受給できます。アルバイトでも一定の時間数を超えていれば被保険者となるので、給料明細などで雇用保険料が引かれているか確認してみてください。
雇用保険手続きのご案内 – ハローワーク
特別定額給付金(仮称)
厳しい収入減の条件があった給付金案から一転し、住民基本台帳に記されているすべての人に、1人につき10万円が支給されることとなりました。
ただし、「受給権者は、その者の属する世帯の世帯主」とされていて、必要としている各人に給付金が届かない状況が多発することが懸念されます。
特別定額給付金 – 総務省
国からの補償 – 事業者向け
持続化給付金
感染症拡大によって影響を受ける事業者に対して支給する、事業全般に広く使える給付金。
ひと月の売上が前年同月比で50%以上減少している事業者が対象。
持続化給付金に関するお知らせ – 経済産業省
雇用調整助成金
事業が縮小してしまった事業主が、従業員の休業手当に要した費用を助成する制度。 新型コロナウイルス感染拡大防止のため、4月1日~6月30日は緊急対応期間として、要件が緩和されます。
雇用調整助成金 – 厚生労働省
※さらに、4月25日に国が休業手当分を全額補填するとの拡充が発表されました。
小学校休業等対応助成金
小学生休業のために子どもの世話をしなければならない親に、有給休暇を取らせた事業者に対する助成金。
小学校等の臨時休業に伴う保護者の休暇取得支援のための新たな助成金を創設しました – 厚生労働省
小学校休業等対応支援金
小学校休業のために子どもの世話をしなければならず、仕事ができなくなったフリーランスの親のための助成金。
新型コロナウイルス感染症による小学校休業等対応支援金(委託を受けて個人で仕事をする方向け) – 厚生労働省
貸付・融資制度
生活福祉資金貸付制度
低所得世帯、または新型コロナウイルスの影響による休業・失業等で生活に困っている人に向けた貸付制度。
生活福祉資金貸付制度 – 厚生労働省
事業者向けの融資・信用保証制度
たくさんあるので経産省のサイトにてご確認ください。
新型コロナウイルス感染症関連 – 経済産業省
民間の支援
緊急ステイ先と生活相談
家がない、家にいられない人のための緊急ステイ先や、生活相談を各支援団体が行っています。
コロナ禍で住まいを失う人が相談できる窓口紹介(東京)
10代女性向け支援 – colabo
小規模事業者持続化補助金
日本商工会議所が行っている、小規模の会社や個人事業主への支援事業。 現在【新型コロナウイルス感染症により経営上の影響を受けながらも販路開拓等に取り組む事業者 】も重点的な支援対象。
フリーランス(個人事業主)も対象となるので該当者はチェックしてみてください。
日本商工会議所 – 小規模事業者持続化補助金
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その他に、各地方自治体による支援などもあります。お住いの都道府県や市町村のホームページなどで、受けられる支援がないか、ぜひ探してみてください。
問題となっていることまとめ
①10万円の一律給付金を世帯主しか受給できない
「すべての人に一律10万円」と発表しておきながら、受給権者を世帯主としているのは、欺瞞ではないでしょうか。
同一世帯でも離れて暮らしている人、世帯主との関係性が良好でない人、世帯主から身を隠している人などは、特に生活に困窮することが多い立場なのに給付が受けられない事態が起きてしまいます。
そもそもすべての人に平等に受給できる権利がないことがまったくの理不尽です。
②DV被害者が証明書を出さなければならない
世帯主が受給者では、DV被害から避難して世帯主と別に暮らしている人が給付金を受け取れない、という声が各所から上がったことで、省庁も一応その対応策を考えたようです。
しかし、そうした場合の給付金を受け取れる要件として「配偶者からの暴力の被害者」であるという証明書を提出することになっています。
被害者自身が被害を受けたことを証明しなければ、加害者に権利を奪われてしまうことが基本となっているなんて、屈辱的じゃないでしょうか。
そもそも、本人確認さえ取れれば、細かい事情まで証明する必要がどこにあるのでしょう。
③休業する事業者への補償が不十分
「持続化給付金」は売上が50%以下になった事業者に助成されるとのことで、業態にもよりますが、そこまで売上が落ち込んでからでは、間に合わず倒産してしまうところも多いのではないかと懸念されます。
「雇用調整助成金」は従業員の休業手当補填分であって、休業中でもかかる家賃などのランニングコストを補償するものではありません。
すでに飲食店やライブハウスなどの閉業が相次いでいます。
このままでは日本中に失業者や借金の負債者、生活困窮者が溢れることになる…いや、すでに急増しているでしょう。本当に危機的な事態です。
④補償に期待できず休めない企業が多い
「よし、売上をいったん50%以下にして持続化給付金をもらおう」とすぐに踏み切れる事業者がどれだけいるでしょうか。それでもし、何かの理由でもらえないということになったら?恐ろしくて休業できません。
生活に不可欠な分野の仕事を止めることができないのは、仕方のないことであり、感謝に堪えませんが、そうでない経済分野もいまだ動いています。駅や電車は今も混み合っています。必要不可欠な分野で働く人の感染リスクも、より高まります。
売上の減少率の条件をつけず、休業するすべての事業者が受けられる補償を行わなければ、ウイルス感染は抑えられません。
⑤補償が遅い
政府は4月30日に補正予算が決定し、5月1日から申請を受けつけると言っています。今ふたたび、給付は7月になるかもしれないという話も出てきました。すでに倒産した店や会社、解雇され失業した人も多い中で、布マスクはすでに配布開始されているのに、現金補償はなぜこんなに遅れているのでしょうか。
⑥医療現場の危機
医療現場にマスクが足りない、防護服が足りない、ベッドが足りない、人手が足りない。医療崩壊の危機を訴える声が後を絶ちません。
補正予算案の新型コロナウイルス対策として、医療体制の整備や治療薬の開発に充てられる予算は、1兆8097億円。
ウイルス収束後の景気対策として組み込まれている予算は、「“Go To”キャンペーン事業」 の 1兆6,794億円を含めた1兆8482億円。
商店や宿泊施設の経営者ですら、「倒産してから食事や旅行に来てもらってもしかたない」と苦言する、幻のような景気対策に同じだけの予算をかけるなら、医療にもっと力を入れられないものでしょうか。
令和2年度補正予算(第1号)の概要
⑦検査数の少なさ
PCR検査機器の整備も進まないため、疑いのある症状が出ても、なかなか検査が受けられない状況も続いています。
「もっと検査を」との声を、「みんなが外出自粛すれば感染予防できる」と言って抑え込もうとする動きもあります。
外出自粛すると言っても、小池百合子東京都知事が「買い物は3日に一度程度に」と言ったように、食料品の買い出しには数日に一度は出なければならない状況はあります。
もし無症状でも陽性だとはっきりわかったなら、食料の調達なども(行政の支援策があれば最良ですが)誰かに買い物代行を頼み、一定期間一切外出しない対策を取ることになるでしょう。
検査数が少ないほど、必要な買い物のために外出する無症状の陽性者が増えるのは当然です。
声を届ける方法
首相官邸をはじめ、各府省庁、与野党、地方自治体などの窓口に、意見を送る人が本当に増えていると感じます。
そしてその声によって、実際に政府の動きも変わってきています。それでもまだまだ、誤魔化しで対応しようとするところも多く、それを許さずチェックする一人ひとりの態度は今後も大切になってくるでしょう。
各ご意見窓口
自民党
公明党
日本共産党
社民党
国民民主党
立憲民主党
れいわ新選組
署名活動
音楽関係者らを中心とした署名活動を行っている「#Save Our Space」が、 幅広い人を対象とした助成を求める新たな署名#Save Our Lifeを開始しました。
新型コロナウイルス感染拡大防止に努めるあらゆる人の仕事と生活を守る継続的な支援を求める署名
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補償はまだまだ不十分ですし、生活が苦しく深刻な状況の人、一方で人々の命を支えるために身を削るような労働現場に置かれる人、みなさんのことを思い心を痛めています。
希望は、私たちの声で少しずつ社会が変わり始めているということです。
耳障りの良い言葉に操られて現実を見ようとしないのではなく、現実の問題としっかり向き合った上で、変えていけるという希望を胸に、共に歩んでいきましょう。
文/きっかけ書房 宇井彩野
素材出典/写真AC