「変わる!」という本を出版します

「出版したーい」と言い出してから、実に4年ほどかかってしまいましたが、とうとうひとり出版社としての「きっかけ書房」が動き出すこととなりました。こんな本を出版します。

真ん中に「変わる! 新しい仲間とアクションの作り方」
その下に「働く若者のグループJOC 編・きっかけ書房」の文字森の緑に囲まれた中で、猫を中心に、熊、鶏、兎、馬などの動物たちがテーブルを囲んでいる

この本がどんな本なのかというと…

今働いている・働きたいと思っている若者や、世の中に何かアクションを起こしたいと思っている人が、この本の通りに実践していけば、必ず「変わる!」本です。

…というと自己啓発本みたいですね。でも自己啓発とはちょっと違う、「労働者の世界」についての本なのです。

語りかけることからはじまる

第一章〈 見る・判断・実行 〉はこんなシーンから始まります。

友達と、久しぶりの食事。ふいに友達が、「最近、仕事どう?」と聞いてくれた。
「仕事ね、うーん……」
(犬さんと猫さんがテーブルを囲んで話しているイラスト)
愚痴になってしまうのがイヤだから、こういう話は普段あまりしないけれど、今日は食事も美味しいし、リラックスした雰囲気で、なんだか話してもいい気がした。
『変わる!』4ページより

友達からこう聞かれた時に、みなさんの心に浮かぶことはなんですか?それはたとえば…こんなことかもしれません。

「会社のやり方に納得がいかないけれど、意見を言っても通らない」
「いつも仕事が終わらなくて、残業や持ち帰りになってしまう」
「上司の発言、ちょっとセクハラじゃない?」
「友達が悩んでいるみたいだけど、自分も忙しくて話を聞けてない」
「性的マイノリティであることを職場で言うべき?トラブルは避けたいけど…」
「メンタルが落ち込んで、働ける自信がない」
「ずっと派遣で働いてきたけれど、いつ契約を切られるかわからない」

『変わる!』5ページより一部抜粋

ゼロから始める〈見る・判断・実行〉

第二章〈実践してみよう〉では、〈見る・判断・実行〉というメソッドでアクションする方法を、より具体的に紹介しています。

たとえば…

「シェアミーティングをしてみよう」
自分の現状をひとに話したり、ひとの現状を聞いたりすることで、現状への理解や分析が深まります。誰かと現状をシェアするためには、いくつかの方法があります。
・・・シェアミーティングの前段階・・・
1.人と会った時に意識して現状を聞く

友達と会った時に、「最近どうしてた?」「元気だった?」
職場で同僚に、「週末はどうだった?」「きちんと休憩は取れてる?」
そんなふうに声をかけてみるだけでも、見えてくることがあるかもしれません。
(声を掛け合っている青年2人のイラスト)
『変わる!』15ページより

現状をシェアする集まり=〈シェアミーティング〉を開催できる計画が立ったら、考えることはたくさん。その一つ一つを、順を追って整理しています。

5.集まりの場所と日程を決める
シェアミーティングをするためには、話し合いができる落ち着いた環境とスペースが必要です。以下のようなことを考慮しながら場所を決めましょう。
*人数分の椅子を用意できること
*ミーティング中に飲み物を飲めること
*なるべく参加者以外に話を聞かれる心配がないこと
*場所を使用できる時間や利用料金が、集まりに見合っていること
『変わる!』17ページより
7.司会者の役割
ミーティングには、基本的に司会者を置きます。司会者は単なる「仕切り役」以上に、大切な役割を担っています。多くの場合は計画チームのメンバーや、責任を取れる人が行います。
司会者の役割1・参加者に立場の上下や差別が起こらないように配慮する
どんな集まりでも、年齢や性別、経歴、障害、人種などによって立場の上下が生まれてしまうことはあります。また、差別とは無縁に見える集まりにも、ささいなことで、参加しやすさや発言しやすさに差が生まれることがあります。
『変わる!』18ページより

シェアミーティングの次の段階はROLWA(ロルワ/見直し)。ROLWAが〈見る・判断・実行〉を行う具体的な手段です。

「ROLWA(見直し)をしてみよう」
ROLWA(ロルワ)はReview of Life and Workers Action(生活と労働者アクションの見直し)の略です。日本では「見直し」という通称でも呼ばれています。
シェアミーティングは現状をしっかりと〈見る〉ためのものですが、ROLWAはそこからさらに一歩進んで、見た後に〈判断〉し、〈実行〉する計画を立てます。
会のルールや計画チームの役割、司会者の役割などは、シェアミーティングの時と同じです。
(手を広げる青年3人のイラスト)
『変わる!』21ページより

ROLWAの先には必ず〈実行=アクション〉があります。

〈アクションプラン会議のルール〉
アクションプラン会議では、シェアミーティングのルールに加えて、より厳密なルールが必要です。計画に参加する人たちが、いつでも責任を放棄してよいと考えてしまうと、グループアクションは不可能になってしまうからです。会議に参加する一人ひとりが、アクションプランに責任を持たなければなりません。たとえば以下のようなルールが加わります。
*すべての決定は、民主的な会議によって行われる
*一度決定されたことは、その決定を下した会議のメンバー全員によって実行されなければならない
*グループアクションを実行する際には、個人行動をとらず、計画のためのすべての動きをグループのメンバーと確認する
(話し合っている人たちのイラスト)
『変わる!』29ページより

ここまで読んで、「このメソッドは一体どこから来たものなのだろう?」と不思議に思った人もいるかもしれません。

その答えが第三章〈JOC基本文書〉です。

あなたは「労働者」ですか?

書籍巻頭の目次に、以下の表記があります。

この本は、働く若者のグループJOC(ジョック)の基本的な考え方や運動のすすめ方をもとに書かれています。

JOC – Jeunesse Ouvriere Chrétienneは1925年にベルギーで始まった、青年労働者の運動です。発端となったのはジョセフ・カルデンという一人のカトリック司祭でした。
まずは働く若者の現状を〈見る〉ことからはじめよう、というカルデンの思想を受け継ぎ、現在JOC運動は世界各国に、宗教や民族を問わず広がっています。
日本では1949年から始まった運動が、今も続いています。

本書はこのJOCの100年の歴史を持つ方法論と、その運動の指針として1975年にまとめられた「基本三文書」──
・DOP(Declaration of Principle 原則の宣言)
・TOE(Task of Education 働く若者の教育)
・ROLWA(Review of Life and Worker Action 生活と労働者アクションの見直し)
をもとに作られています。
そして第三章にはその全文を掲載しています。

ところで、その三文書の一つ、DOPの最初にこんな文章があります。

・JOCの歴史

この運動は20世紀初頭のベルギーで、カルデン神父と何人かの働く若者たちの手によって始められました。その若者たちは、工場や製粉所や鉱山、または家庭内や地域社会にいる、仲間の労働者たちの悲惨な労働状況に心を痛めていました。彼らは賃金も低く、厳しい環境で長時間働かなければならず、自由時間はほとんどありませんでした。

カルデンは、彼ら労働者階級※の若者たちに、自らを組織する力を与え、権利のために立ち上がることができるよう養成したいと考えました。なぜならカルデンは、彼らが団結し、抑圧され搾取されている状況から、自由を勝ち取る力を持っていると信じていたからです。カルデンには、「一人の働く若者には世界中の黄金をすべて集めたよりも大きな価値がある」という信念がありました。そうしてカルデンは、働く若者自身が運営する働く若者のための運動を、教会の中で創り上げたのです。
『変わる!』37ページより

JOCが〈Young Worker=青年労働者、働く若者〉の運動であることは、基本文書でたびたび強調されていますが、ここでは〈Worker=労働者〉とは、〈Working class=労働者階級〉のすべての人を指すことが示されています。

ところで皆さん、自分が「労働者階級」かどうかって知ってますか?
そもそも「労働者階級」ってなんでしょう?

…ということでちゃんと解説もついてます!

※労働者階級、資本主義/working class, capitalism

資本主義は現在、世界経済の基本体制だと考えられています。しかし、「資本主義とは何か」という問いにすぐに答えることは、多くの人にとって難しいのではないでしょうか。
資本主義の「資本」とは、仕事の元手となるお金や機材、建物などのことです。資本を持っていれば、それを使って労働者を雇い、商品を生み出してさらに資本を増やすことができます。資本主義経済は、資本を持っている人たちが、それを使ってさらなる利益を生み出すということを基本としています。
しかし皆さんも知っての通り、世の中には、自分の生活をまかなう以上の資本を持っていない人がたくさんいます。自分の生活をまかなうことすら困難な状況の人も、少なくないでしょう。こうした人々は、自分の「時間」と「労働」を資本とするしかありません。こうした、自分の労働力だけを糧とする人たちのことを「労働者階級」といいます。
貴族や平民のような階級制度は、日本や欧米などではもはや無くなったと思われていますが、資本主義の世界には新たな階級が生まれています。
大きな資本を持つ人々は「資本家」または「支配者階級」と呼ばれ、資本を元手に富を増やしています。持っている資本が大きければ大きいほど、自分自身が労働する必要はなくなります。一方の「労働者階級」の人々は、大きな利益を生み出せないまま労働し続けるしかありません。この不自由な…(以下不掲載)
『変わる!』38ページより

まだまだ続きがありますが、そちらは本書でぜひ…

昨今の世の中を見ていて、自分も何かアクションしたいとか、誰かと気持ちを共有したいという思いを抱えている人も、多いのではと思います。
『変わる!』はまさにそういう現状から行動を起こすヒントを、ごく初歩的な段階から、丁寧かつ具体的に記した一冊です。
ぜひ、誰にも話せないモヤモヤを抱えている人や、現状をどうにかしたいけれどどうすればいいかわからないという人、日本の投票率を上げるためにはどうしたらいいの!?と思っている人に届いてほしいな、と思っています。

2024年2月25日刊行!

〈友達や同僚に声をかける〉、そんなさりげない場面から始まり、〈労働者の世界を知ること〉につながる本
『変わる!~新しい〈仲間〉と〈アクション〉の作り方~』
は、きっかけ書房から2024年2月25日より発行します。

発行日の2月25日には、文学フリマ広島6にも出店します。お近くの方はぜひ遊びに来てください~

個人でのご購入は、紙の本は¥1200(+税)、電子書籍(PDF版)は¥900で、どちらもBASEから可能。

書店様からのご注文は、一冊取引所でも承っております。
取引情報はきっかけ書房サイトに掲載。

こちらは書店様向けFAXです。個人でご購入希望の方はBASEから、またはお問い合わせください。

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