素晴らしい魔女になるために

このサイト「ikinobi」の全体像として思い描いていることを、少し語っておきたいと思います。
「ikinobi」は〈生きづらさを生きる人のための情報・コラムサイト〉として、いくつかのカテゴリー分けされた記事を掲載しています。

カテゴリーは以下の5つ
・いきのびハック
・情報
・コラム
・レビュー
・素晴らしい魔女になるために

〈いきのびハック〉は生きづらさを生きるためのいろいろなライフハックや情報をシェアしていく記事。〈情報〉カテゴリーと重なることも多いと思いますが、〈情報〉にはさらにもっとカジュアルに、ニュースやプレスリリースなども掲載していくつもりです。そのほかに〈コラム〉〈レビュー〉もサイトの柱となる記事として掲載していく予定です。

そして最後のカテゴリーが、〈素晴らしい魔女になるために〉。これは、私がサイトを始める以前から気になっていた問題に切り込むためのコラムシリーズです。

魔女のように強い女に

「魔女のように強い女になりたい」という雰囲気を、近年のパワフルな若い女の子たちから感じ取っているのです。

私はこれまでに何組か、女性アイドルグループを好きになって真剣に追いかけたりしてきたのですが、夢を追って芸能の世界に自ら飛び込む女の子たちは、まさに「若いパワフルな女の子」そのものだと思います。
そんな、時代を動かす勢いのある子たちから感じるのは、「自立し解放された女性像」に向かう意識をちゃんと持っているということ。

アイドルの世間的なイメージとして―女性性を搾取され、悪い大人たちに踊らされている、そしてそのことに無自覚な、自分を切り売りしてしまう短絡的な若い女性―極端なら言い方ですが、こういうイメージはやはり根強くあると思います。
実際にアイドル産業が搾取産業となっている面も否定できません。

しかし、性産業に携わる女性たちの中にも多くのフェミニストが存在するように、業界に搾取が蔓延っていても、その中に生きる女性たちの目指しているものがもっと違っていることに、なんら矛盾はないのです。

確実にこの世界で、古い価値観に縛られる従順な女性になるよりも、それこそ「魔女」のように強さや賢さ・自立や解放を手にする女性でありたいと考える若い女性は増えているでしょう。
少し前の時代には信じられないほど、それが主流の価値観になりつつあるのは間違い無いと思います。

しかし、この世には時々落とし穴があるなあ、と私が感じているのは、一見「魔女」に見えて誰かに「従順」になっているだけの状況があることです。
同時に一見「真面目で退屈なもの」に見えて「解放」であることも存在します。

よりクリアに本質を判断できる人は「なぜそんな落とし穴に簡単にはまってしまうのだろう」と首を傾げるかもしれませんが、そこに私は、「セクシーの罠」と私自身が名付けた現象を見ています。

「セクシー」の危ない罠

小泉進次郎氏が「気候変動のような大きな問題は、楽しく、かっこよく、セクシーであるべきだ」と発言したことで批判を受けたのは、みなさん記憶に新しいと思いますが、まさにこの文脈での「セクシー」の話です。

小泉氏の発言はあまりに場違いであったために批判されましたが、私たちの日常の中で、社会問題を論じられる場面でも、真面目に怒っている人よりも「楽しく、かっこよく、セクシーに」振る舞っている人の方が、なんとなく良い感じに見えて支持されることは、よく起こります。

たとえば、「フリー・ザ・ニップル運動」があります。

女性の体は男性よりも性的なオブジェクトとして見られすぎている。男性と同程度に女性もトップレスになっていいはず。
ニップル(乳首)が見えるファッションがことさら性的に見られず、普通のファッションとして受け入れられていいはず。

ハリウッドセレブの中にもこの主旨に賛同する人が多く、シースルー素材などで乳首が見えるファッションが流行しています。
乳首見えファッションをかっこよく着こなすセレブたちは自由で解放され、「セクシー」に見えます。

一方で、日本では職場でのハイヒール強要に反対する「KuToo運動」が盛り上がっています。

女性職員だけがハイヒールパンプスを強制されている職場が多くあることを訴え、こうした職務規定をなくしていこうと石川優実さんが中心になって始めた運動です。
この運動も、女性が男性よりも性的オブジェクトとして見られ、職場ですらも「美しさ」を見せるように求められていることに反対しているという意味で、フリー・ザ・ニップルと地続きです。

しかし、「ハイヒールではないフラットで履きやすい靴を履く自由を!」と訴える女性と、「私はハイヒールのままでいい。美しく見せるのが女の楽しみだから」と反論する女性がいたなら、後者の方が「セクシー」に見えるかもしれません。
ともすれば、前者を真面目で堅い「縛られた女性」、後者を強くて解放された「魔女」と見る人もいるように思います。
しかし、古い価値観、自分以外の人間にとって都合の良い状況の押し付けに「従順」なのは、一体どちらでしょう?

本当の意味で解放された女性たちが、楽しく「セクシー」に見えることもあります。それ自体はとても魅力的だし良いことです。
一方で、怒ることは大抵の場合「セクシー」には見えません。けれど、明日の解放のためには怒らなければならない場面もたくさんあります。

だからここで、みなさんと一緒に本当の意味で解放されるためのことを、素朴な気持ちで「かっこよくなりたい」と思う女の子たちが素晴らしい魔女になるために、何が本当の助けになるのかを、考えていきたいと思います。

精神的なこと以外にも、フィジカルな面でオススメの生理用品情報などもシェアしたいと考えています。
そういう意味では身体的に対象が絞られる記事もあるかと思いますが、基本的に「魔女になりたい人」の性別・性自認は限定されないものと考えております。

素材出典:pngtree.com

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