2020年は、BL界でなにやらすごいことが起こるみたいですよ…!
「BL FES!!-Boys Love Festival!!-」 と題して、人気ボーイズラブ作品のアニメ映画を劇場で上映するイベントが開催決定。
しかもその第一弾となる作品がアツい!
なんと、一穂ミチ作・竹美家ららイラストの『イエスかノーか半分か』(新書館ディアプラス文庫刊)と紅蓮ナオミ作『まるだせ金太狼』(ジュネット刊) の同時上映です!
いやあ、申し訳ないけれど「BL FES!!」というタイトルを見た時は正直そんなに期待していませんでした。こういう商業ベースに乗せられる作品は、少女漫画テイストのラブコメが多くて、私の好みとちょっとはずれているんだよなあ…と。
ところがなんと、一穂ミチ先生と紅蓮ナオミ先生!?そんなシブイ作品選ぶBLアニメ化ってあるか!?度肝を抜かれました。
いや、誤解なきように付け加えさせていただくと、どちらも本当に大人気の作家さんなのです。
でもね…まさかね…私自身がお2人の作品を好きすぎたこともあって、ちょっと信じられない気持ちです。
ともあれ、お2人の作品の魅力についてお話ししたいと思います。
一穂ミチ先生は、BL界でもトップレベルの人気小説家。しかし、BL作品でメディアミックスでもない純粋な小説がアニメ化されること自体、けっこう珍しいことだと思います。
私が一穂ミチ先生の作品に惚れこんだのは、そのポリティカルコレクトネスの確かさにあります。
「コンプラ」と「ポリコレ」の区別がついていない人には、「ポリティカルコレクトな作品」は規則に縛られた退屈な作品のように思われてしまいがちですが、それはそもそも語句の意味を勘違いしています。
まあそれは、「ポリティカル」という言葉の適切な訳語が日本語にないことも、影響しているのかもしれませんが…
ポリティカルコレクトネスによって、作品が必ず面白くなるとは限りません。しかし、作品の完成度を高めることの一助になることは確かです。
たとえば、「主人公のそそっかしい性格」を表す行動として描かれるエピソードが、多くの人が倫理的に許容できないと感じるものだったら、作者の思い描くキャラクターは読者に伝わらず、破綻してしまいます。
または、「主人公が正義感を発揮する」エピソードが、あまり正義と感じられないものだったり、どうでもいいことに義憤をつのらせていたりしたら、主人公の性格がよくわからないものとなってしまいます。
作者が確かな倫理観や、思想的な指針を持っていることは、作品の破綻を防ぎ整合性を持たせる、重要なポテンシャルなのです。
その点において、一穂ミチ先生の作品はたしかです。
かといって杓子定規ではなく、たとえば『イエスかノーか半分か』では二面性を持つ性格に難ありな新人アナウンサーの主人公が、とてもキュートに描かれています。
紅蓮ナオミ先生の作品こそ、アニメ化と聞いて驚きを隠せません。本当に可能なのか…?劇場公開できるのか…!?それこそコンプライアンス的な「待った」がかかったりしないか…!?
なにしろ、紅蓮ナオミ先生と言ったらBL漫画界でぶっとんだアホエロギャグ漫画を描き続けてきたパイオニア的存在。
全校生徒で楽しく連穴ジェンガとか、陰毛美容師とか、倫理感も貞節もあったもんじゃない無茶苦茶なアホエロ世界を描き続けてきた天才です。
しかし、現実世界で権力を握る人々が暴挙に出たり、無茶苦茶な言い逃れをしたりしようとする時に、私は紅蓮ナオミ先生の漫画を思い出すのです。
お気に入りの男子生徒にエッチなおしおきをしたいがために自分のハナ〇ソを黒板に張り付けたアホエロ教師の、「これは小数点ではない、私のハナ〇ソだーっ!!」と叫ぶアホシーンが、某政治家たちの背景に見えてくるような気がするのです。
紅蓮ナオミ先生の作品ような存在は、アホなことはアホだと、無茶苦茶なことは無茶苦茶だと認識し続けるために、この世界に必要なものではないかと、昨今の世の中を見ていると思ってしまいます。
そんな超絶アホエロ作品が、劇場アニメ化。これはとんでもないことが起こる予感しかありません。
しかもポリティカルなセンスが確かな一穂ミチ先生作品と、己のポリティカルセンスを再確認させてくれる紅蓮ナオミ先生作品が同時上映。本当にこの2つの作品選んだの誰ですか?頭良すぎるんですか???
上映イベント「BL FES!! 2020 –Boys Love Festival!! 2020-」は2020年冬、新宿バルト9他全国にて開催。
「このBLがやばい!」(JIVE刊)2021年度版の発表会や、応援上映回、キャスト登壇のトークショー回も企画中とのこと。
来年の冬が今から楽しみですね。
<BL FES!!特設サイト>https://blfes.com
<オフィシャルTwitterアカウント>@bl_fes(JIVE刊)
出典:PRTimes