ヴィーガンにならない人にも怒ってほしい、グレタ・トゥーンベリさんと「嘲笑」の話

この世の中は、「怒っている女の子」をとても嫌うようです。

その「女の子」は、誰よりも熱心に学び、確かな知識を元に、正義のため、既存の社会を変えるために行動を起こしました。
世の中の多くの大人は、この「女の子」ほどの熱意も知識も正義感も持ち合わせていなかったために、彼女に指摘されたことに反発し、彼女を貶めることに力を注ぐようになりました。

16歳の環境活動家グレタ・トゥーンベリさんの活躍が最近ますます注目されていますね。
2018年8月から「気候変動のための学校ストライキ」の看板を掲げスウェーデン議会の前で座り込んだグレタさんに、多くの若者たちが賛同し突き動かされています。

それと同時に、グレタさんは多くの大人たちの批判の的にもなっています。
ひとつには、ヴィーガン(完全菜食主義)を貫き、二酸化炭素排出量の多い飛行機などの乗り物を使わないグレタさんの徹底っぷりを、馬鹿げたものとして嘲笑する向きもあるように思います。

ヴィーガンと聞くと、肉食を悪者扱いされているようで居心地悪くなる人も多いようです。
しかし、ヴィーガンを嫌う人のうち何割くらいが実際のところ「環境のためのヴィーガン」の意味を理解しているのでしょう?

問題は個々人ではなく経済システム

公正さのために私自身の立場を先に記しておくと、私はヴィーガンではありません。
しかし、資本主義社会における、一部の権力者の経済的支配に抵抗することは自分のできる範囲で行いたいと思っていて、それがひいては環境のためにもなると考えています。
この考えは、環境のためにヴィーガンを実践する多くの人たちの考えと一致しているものだと私自身は考えています。

グレタさんがもし、すべての人が自分と同じようにヴィーガンになり、温室効果ガスを排出する乗り物やプラスチック製品を避けることで気候危機が解決すると考えているのならば、彼女が座り込むのは国政を決定する議会の前ではなかっただろうし、怒りの訴えをしたのは国連気候行動サミットではなかったでしょう。
彼女は、この社会の経済システムを変えなければ人類が気候危機に立ち向かうことはできないとわかっているからこそ、行動しているのではないでしょうか。

肉の消費と気候変動の関係については、以前から指摘されていたそうですが、昨年発表されたオックスフォード大学の研究結果によってより大きな話題となっています。

食料生産は気候変動の大きな要因の一つだ。中でも畜産業は、家畜が温室効果ガスであるメタンを大量に排出する上、放牧地を確保するための大規模な伐採によって二酸化炭素を吸収するはずの森林が破壊されたり、持続不可能なほど大量の水が使用されたりする。

気候変動対策に肉の消費減が不可欠、「欧米で9割減」提言 研究 (c)AFP

この結果から、「欧米諸国が現在の肉の消費量を90%削減する必要性が示唆されている」とのこと。

要は、現代の集約的畜産業のスタイルが環境に与える影響が大きすぎるということですね。
肉の「消費量」というより「生産量」自体を削減し、肉の生産スタイルを変えることにつながらなければ、環境に与える影響も変わらないのです。

一般消費者のためでなく、社会全体のためでもなく、大企業に都合の良いシステムであるために物事が左右されることはよくあります。
日本では、消費が落ち込み景気を悪化させると多く指摘されているにもかかわらず、消費税が10%に引き上げられたのも最近の話。

究極的にいえば、消費者のほとんどが肉を買わなくなったとしても、経済界のために無理やり肉の生産が続けられることもあり得るわけです。

経済を牛耳っている彼らが動かなければ変わらない。
それを考えると、気候行動サミットに大変革をもたらす気もなく惰性で集まったような各国リーダーの姿を見て、「How dare you?」と怒りたくなるグレタさんの気持ちがより強く伝わってきます。

グレタ・トゥーンベリさんのスピーチ全文

消費行動を変えるというプロテスト

そうは言ってももちろん、消費ボイコットは一種のプロテストの形として有効です。
環境保全活動にコミットする人がヴィーガンという選択をするのは、何もおかしなことではありません。

それと同時に、消費行動を変えることは一つの手段であり、その手段を取らない人だって、気候危機を懸念し経済界へ警鐘を訴えることは誰でもそれぞれのやり方でできうるのです。

世の中には搾取や差別、環境破壊などの理由からボイコットすべき企業は数多ありますが、その全てをボイコットすることが難しい消費生活者の個々の現状があるのも事実です。
それでも私たちは、間違ったことにはNOと言い続けるべきだし、個々の消費行動に変えがたい部分があっても、そのことが主張と矛盾することはありません。
そして、もし消費行動を十分には変えられなくても、消費ボイコットをしている人々と連帯することは可能なのです。

現在、地球温暖化対策の会議「COP25」の開催国がチリからスペインに変更されたために、グレタさんが新たな移動手段を見つけなければならなくなったことも大きな話題になっています。
彼女が飛行機を拒否することも、「ただのパフォーマンスじゃないか」と批判され、嘲笑されることが多々あります。

実際これは、グレタさんの政治的主張と全く整合性のとれた「パフォーマンス」だと思います。
彼女は世界のリーダーたちが気候危機への抜本的対策に取り組むまで、移動に不都合を抱え、たくさんの人の支援を必要とする不自由な状態を受け入れ続けるのでしょう。
グレタさんのこの一貫した訴えを、一体どの立場の大人が嘲笑うことができるでしょうか。

素材出典ーpngtree.com

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