出版したい!⑦ーひとり出版社の作り方・ジェネレーション

やっぱり、今新しいことを始めている人たちの感覚や考え方って、変わってきているなと、この起業計画を始めてからより頻繁に感じています。

教え渋らない流れはすでにきている?

このサイトの一番最初の記事( 今の世の中、教え渋らなくてもいいんじゃないか )に書いたように、私は仕事のやり方を他人に教え渋る・隠すという風潮に疑問があり、これから自分がしていく仕事のノウハウすべてを公開することを目的の一つとして、このサイトを始めました。

そんなことを考えているのは私だけなのかなあ、と思っていたのですが、ちょうど出版(とくに流通関係)の参考に読んでいた『まっ直ぐに本を売る』(石橋毅史・苦楽堂)でも、似たようなことが書いてあって驚きました。

出版社トランスビューが始めた、画期的な書店との直取引の方法について、代表の工藤秀之さんは、「詳しく知りたいという人にはすべて公開します」と言っているのです。
正直、やっぱりそうだよね!と思いました。

というのも、この本を読む直前に、前回の記事( 出版したい!⑥ーひとり出版社の作り方・参考書籍リスト )に書いた通り、友人を通じてKAILASの松岡宏大さんとお会いした時に、すでにその潮目を感じていたことがあります。

おどかされる体験

実はその前に、またさらに時間をさかのぼりますが、とある出版関係に明るい方が、私が出版をやろうとしているという話を人づてに聞いてアドバイスをくださったのですが、多少なりとも、こちらの覚悟のほどを試すというか、「出版」という甘い言葉の響きにつられているのではないか?という疑いのこもった視線を感じました。
もちろんこちらの企画意図が伝わった後は、とても親切に助言していただき感謝しかありません。

むしろ、その疑いの目に対して、私自身がさほど驚かなかったことが、なんだか我々の世代感覚を如実に表しているように思えました。

私たちの世代(アンダー40くらい?)は、何か新しいことを始めようとしたときに上の世代から「甘く考えているんじゃないか」「そんなに簡単じゃないぞ」とおどかされる体験が、一度や二度ではないのでは、と思うのです。正直に言って、そっちの反応の方が「慣れている」んです。

だから、松岡氏にお会いする時にも、頭のどこかに「甘い考えでなんとなく出版とか言っているんじゃないことを伝えなければ」と構える気持ちがありました。
しかし、実際にお話しさせていただくと、おどかすどころか、新たに独立系出版の世界に参入する若人ウェルカム、という雰囲気。
「難しいよ」とか「儲からないよ」と言われることもなく、むしろ「今やりやすくなっていると思う」とさえ言われたことには驚きました。

驚くと同時に、このことは、日本経済の時代の流れが背景にあるようにも思えてきました。
昔のような経済成長の勢いは、人の生活の実感から消え去って、出世して稼ぐというモデルケースの希望がほとんど持てなくなってから、新しい仕事のやり方を探し始めた人たちの考えは、それ以前の考えと大きく変わっているのではないかと。

少なくとも、企業の正社員であれば「レールに乗った生き方」と考えられた昔と違って、そこから外れる生き方だけが「危うい道」と呼べなくなったという変化は確実にあるでしょう。
どの生き方を選んでも「先々まで生活が保証される」という安心感が極端に得られなくなった今、「若者が考えなしに危うい道を選ばないように先におどしをかけておく」みたいなことも、ほとんど機能しなくなっているのかもしれないな、と。

JOC(ジョック)で出会った大人たち

と、ジェネレーションギャップ的なことを語ってきましたが、実は世代にかかわらず、若者のやることを否定的から入らずにまっすぐに受け止めて応援してくれる人たちにも、私はすでに出会っていたのでした。

それは出版しようとしている本の元となる運動であり、きっかけ書房の特別協力団体である働く若者のグループ・JOC(ジョック)で出会ったOBOGや協力者の大人たちです。

このグループの中で経験した驚きの一つは、対等に話をしてくれる中年男性に何人も出会えたことでした。
年輩の男性と話していて、「自分が上に立ってものを教えてやろう」という魂胆を感じずに、それどころか「自分も若者から学ぶものがある」といった気持ちさえ感じさせてくれるフラットな態度で接してもらえたのは、初めての経験といっても過言ではないです。
もちろんJOCには尊敬すべき女性の先輩たちも数多くいます(むしろ多い)が、年輩女性で対等に話してくれる人はグループ外でも出会ったことがあり、男性ではほかでほとんど出会ったことがありませんでした。

そういう人間を育てるJOCというグループの魅力がどこにあるのか、私も本を作る中で知っていきたいし、年長者に凹まされて自信を失っている多くの若者に伝えたいと思っています。

素材出典:pngtree

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