出版したい!④ ー『三文書』の魅力・DOP編

前回(出版したい!③)に引き続き、出版しようとしている文書の一部DOPについて語りたいと思います。

資本主義によって貧富の格差が広がっている現代社会を的確に表した冒頭文の一部「今日の世界」に続いて、今回は本文の最初のターム「JOC(ジョック)の出発点」を紹介します。

JOC は、働く若者たちの毎日の生活における、「個人の現状」と「共通の現状」からスタートします。そして、社会に存在する矛盾からスタートします。

働く若者のグループJOC(ジョック)において、「出発点」はひとつの大切な基準となっています。

JOCはベルギーのカトリック司祭カルデン神父が1910年代に始めた運動で、彼の出発点こそが「若者たちの現状」でした。
若者たちに聖書を教えたり、奉仕活動をさせたりするだけで、彼ら自身の現状を見ようとしていないカトリック教会の姿勢に疑問を抱き、若者たちが自分自身で立ち上がれるようにする必要がある、と新たな運動を作ったのです。

若者たちに何かを教えることや、ボランティアをさせることを最初から目的にするのでなく、若者たち自身の現状を見ることから出発しよう。この理念があるから、JOCの基本文書では何度も「出発点」を確認するように働きかけられるのです。

本章では次のような文が続いています。

この搾取、抑圧、排除という状況は、一人ひとりの個人的な経験の中にあります。彼らは叫びます。幸せになりたいという望み、自分を変えたいという望み、自分らしくありたいという望み、そしてそれが叶うことはないだろうという思いから生まれる失望を。

人々がこうありたいと望む世界と、彼らが直面している世界は矛盾し続けます。そしてこの矛盾は、社会によって、また働く若者たち自身の手によって、維持されているのです。

これらの現状を、JOC では、「個人の現状」と「共通の現状」の両面から体験し、分かち合い、 分析します。そして若者たちは、この現状を変えるためにアクションを起こします。

DOP 原則宣言

「望む世界」と「直面している世界」の矛盾は、私たちの生きる現実のそこかしこに存在しています。

差別や不平等、貧困、戦争や紛争はいまだこの世界からなくなりません。それどころか社会の変化とともに新たな迫害や搾取が日々生み出されています。
そして、誰もが日常の中で、そのどこかに関わっています。それは多くの場合、現状の被害者として、または現状の維持に加担する者として、その両方においてです。

JOC運動は参加する若者たち自身の「個人の現状」を見ることから始まりますが、それだけにとどまりません。
他の若者たちとの「共通の現状」を知り、社会の現状とのかかわりを知ることで、変えていくためのアクションにつながっていくのです。

素材出典:写真AC

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